ユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた「かじき座銀河群」

2023年7月に打ち上げられたユークリッド宇宙望遠鏡。そのユークリッド望遠鏡の早期リリース観測の一環で撮影された画像が公開されました。上の画像は公開された5点のうちの1点で、かじき座銀河群が映っています。かじき座銀河群は、かじき座の方向、6200万光年の距離にあります。

かじき座銀河群は、銀河群としては構成する銀河の数が多い銀河群の一つです。画像には、銀河どうしの相互作用によってできた潮汐の尾などがうっすらと映っています。かじき座銀河群は、たとえば、ろ座銀河団などと比べてはるかに若いため、銀河群を構成する銀河ではまだ星形成活動が進行中のものもあります。一方で、比較的最近に合体した兆候を示す銀河もあります。

ユークリッド望遠鏡は、広い視野と高い空間分解能をあわせもった望遠鏡です。その特長を生かし、星団レベルの小さな天体から、潮汐の尾のようなより広範囲にわたる現象まで、同じ観測データを使って研究することが可能となります。

ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によれば、ユークリッド望遠鏡のデータからは、銀河の周囲にある球状星団をリストアップできるとのことです。球状星団のデータから、銀河がどのように形成されたのかに迫ることも可能になります。

2つの銀河周辺のクローズアップ
2つの銀河周辺のクローズアップ
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6年間で全天の3分の1の領域を観測する

ユークリッド望遠鏡は、太陽・地球系の第2ラグランジュ点(L2)を周回する軌道から観測を行っています。L2は、地球からみて太陽の反対側、約150万km離れたところにあります。全天の3分の1の領域について、100億光年先までの銀河の形状や位置、距離などを測定し、宇宙の3Dマップを作成することが目的です。それにより、ダークエネルギー(暗黒エネルギー)やダークマターの解明などを目指しています。

(参考記事)ユークリッド宇宙望遠鏡 銀河の精密な3Dマップを作り宇宙の「暗黒」の解明を目指す

2024年5月23日に公開された今回の5点の画像は、同日公開されたミッションの最初の科学データおよび、今後発表される10件の科学論文に伴うものです。データはわずか24時間の観測から得られたもので、可視光で1100万以上、赤外線でさらに500万以上の天体が明らかにされています。ユークリッド望遠鏡のメインミッションは6年間が予定されており、今後の成果が大いに期待されます。

(参考記事)
ユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた星形成領域M78
ユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた銀河団Abell 2390
ユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた渦巻銀河NGC 6744

Image Credit: ESA/Euclid/Euclid Consortium/NASA, image processing by J.-C. Cuillandre (CEA Paris-Saclay), G. Anselmi

(参照)ESA(1)(2)