探査車パーサヴィアランスが初めて間近で見た火星の堆積岩。微生物化石の探索には理想的 | アストロピクス

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探査車パーサヴィアランスが初めて間近で見た火星の堆積岩。微生物化石の探索には理想的

この画像に映っているのは、火星の堆積岩の露頭です。この露頭は、アラスカのカトマイ国立公園にあるランドマークにちなんで「Enchanted Lake」と愛称がつけられています。NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車パーサヴィアランスが2022年4月30日(424火星日)にハザードカメラ(Hazcams)で撮影したものです。

パーサヴィアランスは2021年2月、火星のジェゼロ・クレーター内に着陸しました。クレーター内のデルタの麓付近にあるこの露頭の画像は、探査車の科学チームにとって初めて間近から観察した堆積岩となりました。このような岩石は、風や水によって運ばれた細かい粒子が堆積し、長い時間をかけて硬くなったものです。

着陸以来、パーサヴィアランスはさまざまな露頭や岩石、塵などを調査してきました。その結果、クレーターの底にある岩石は地下や地表でマグマが冷えてできた火成岩であることがわかりました。また火成岩が水と相互作用してハビタブルな微環境を保っていた可能性があることも発見されました。

しかし火成岩を生成する高温・高圧の環境は通常、微生物化石を保存するのに最適な環境とはいえません。一方、画像に映っているような堆積岩は、過去の生命の痕跡を探索するには理想的な場所です。堆積岩が形成された時代に微生物が存在していたとしたら、堆積岩の中に取り込まれ化石となり残っている可能性があるのです。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech

(参照)Mars Exploration Program