探査車キュリオシティが急斜面からの迂回路で撮影した火星の360度パノラマ | アストロピクス

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探査車キュリオシティが急斜面からの迂回路で撮影した火星の360度パノラマ

この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車キュリオシティが撮影したもので、探査車の周囲360度が映ったパノラマ画像になっています。2023年6月27日(3871火星日)に、キュリオシティのマストカメラ(Mastcam)で撮影されました。145枚の画像が合成されています。

キュリオシティは2023年5月から6月にかけて、これまでで最も走行が困難な斜面を登ろうとしました。23度の急勾配、すべりやすい砂、車輪ほどの大きさの岩という、3つの課題が立ちはだかる困難な斜面でした。何度か試みられた末、最終的には約150m離れたところにある、傾斜がやや緩やかな場所を目指して迂回することになりました。冒頭のパノラマ画像は、迂回先で撮影されたものです。

こちらは冒頭のパノラマの右側の一部で、赤で示したところが登坂を試みた場所です。画像右下にはキュリオシティの車輪の跡が映っています。

キュリオシティは迂回したことで、15度以下の傾斜で砂や岩が少ないルートから上に登ることに成功しました。その後「ジャウ(Jau)」と名付けられた、小さなクレーターが多数集まっている場所での観測を行いました。

この画像の黄の円はキュリオシティが登坂を試みた場所、赤の円はパノラマ画像を撮影した場所です。画像左下側に「ジャウ」が映っています。画像はNASA/JPLの「Curiosity's Locaiton」より

2012年に火星へ着陸したキュリオシティは、2023年8月5日で火星滞在11周年を迎えました。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS

(参照)Planetary Photojournal