探査車キュリオシティがとらえた大小2つの火星の鉄隕石 | アストロピクス

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探査車キュリオシティがとらえた大小2つの火星の鉄隕石

この画像に映っている岩はどちらも、宇宙から火星に落下した鉄隕石(鉄とニッケルが主成分の隕石)です。NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車キュリオシティが、2014年5月25日(640火星日)に撮影した画像です。

奥の大きな隕石には「レバノン」という愛称が付けられており、手前の小さな隕石は「レバノンB」と呼ばれています。レバノンの幅は2メートル程度です。

隕石の表面には角ばった形の穴が見られます。これは隕石の金属内の結晶境界に沿って侵食が起きたためかもしれません。あるいはこれらの穴には、かつてカンラン石の結晶が含まれていたのかもしれません。カンラン石の結晶は、小惑星内のコアとマントルの境界付近で形成されたと考えられるパラサイトという珍しいタイプの石鉄隕石で見られます。

地球上では鉄隕石は珍しくはありませんが、石質隕石より一般的ではありません。一方、火星では、見つかっている少数の隕石の中では鉄隕石が最も多く見つかっています。理由としては、火星では鉄隕石が侵食されにくい可能性が考えられます。

なおキュリオシティは火星の別の場所でも鉄隕石を見つけたことがあります。またNASAの以前の火星探査車スピリットやオポチュニティも隕石の画像を撮影したことがあります。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/LANL/CNES/IRAP/LPGNantes/CNRS/IAS/MSSS

(参照)Planetary Photojournal