WISE衛星が赤外線でとらえたヤモリ星雲

この画像に映っているのは「LBN 437」と呼ばれる、ガスと塵からなる星形成領域です。尖った鼻先を持つ下向きの頭部のように見えることから「ヤモリ星雲」とも呼ばれています。NASA(アメリカ航空宇宙局)のWISE(広視野赤外線探査衛星)が赤外線でとらえた画像です。

ヤモリの鼻先付近に、赤みがかって見える星が長波長の赤外線で輝いています。これは赤ちゃん星の最終段階にある天体です。噴き出したガスが周囲の塵の雲をうがち空洞を作っています。このような天体は「ハービッグ・ハロー天体」と呼ばれます。

この画像では、青とシアンは主に星から出る3.4μmと4.6μmの波長の光で主に星の光を示しています。緑は主に「多環芳香族炭化水素(PAH)」として知られる炭素を多く含む塵から出る12μmの光、赤は主に温かい塵から出る22μmの光を表しています。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/IPAC

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2024年11月に最終データがリリースされた

WISE(広視野赤外線探査衛星)は2009年12月に打ち上げられたNASA(アメリカ航空宇宙局)の赤外線天文衛星です。もともと全天のサーベイ観測を行っていましたが、2011年2月にいったん運用を終了し休眠状態になりました。

その後、2013年10月から運用を再開し、地球近傍天体を探索することになりました。休眠明けからのミッションはNEOWISE(地球近傍天体広視野赤外線探査衛星)と呼ばれます。NEOWISEは2024年7月で科学観測を終了し、11月14日に最終データがリリースされました。冒頭の画像は、それを記念して公開された6点の画像のうちの1点です。

(参考)WISE衛星が赤外線でとらえたカリフォルニア星雲

(参照)NEOWISE Project