すばる望遠鏡がとらえた、卵を抱えたペンギンのような銀河のペア「Arp 142」

この画像の中央には、たがいの重力で影響を与え合っている銀河のペアが映っています。これらは、2つの銀河をあわせて「Arp 142」と呼ばれます。うみへび座の方向、約3億3000万光年の距離にあるArp 142は、その形がまるで卵を抱えたペンギンのようだといわれます。

画像は、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)で撮影されたものです。

ペンギンに見える銀河NGC 2936は、もともと渦巻銀河だったものが、卵にみえる楕円銀河NGC 2937の重力の影響を受けて形がゆがんでしまったと考えられています。

NGC 2936のペンギンの目にあたる明るい部分は銀河の中心核です。クチバシや銀河の輪郭部分で青白く輝いている領域がみられます。それらの場所では、重力相互作用により活発な星形成が発生し、生まれたばかりの若い星々が輝いています。楕円銀河NGC 2937は古い星が多く、全体的に赤みを帯びた色をしています。

2つの銀河を包むように、衝突の痕跡がぼんやりと映っています。またペンギンの左上側の少し離れたところにも、衝突の痕跡が淡く見えています。

すばる望遠鏡は、ハワイ島のマウナケア山頂付近に設置されている、口径8.2mの巨大望遠鏡です。すばる望遠鏡は、1999年1月のファーストライト以来、2024年で25周年を迎えました。25周年を記念して、国立天文台は2024年4月から毎月2枚ずつ、すばる望遠鏡が撮影した天体画像を紹介しています。くらげ銀河をとらえたこの画像は、2024年7月31日に、すばる望遠鏡のウェブページで紹介されたものです。

(参考記事)
ペンギンと卵のような相互作用銀河Arp 142 ウェッブ望遠鏡の科学観測2周年記念画像
まるで卵を抱えたペンギン 〜 ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた相互作用銀河Arp 142

Image Credit: 国立天文台

(参考記事)
すばる望遠鏡25周年記念画像

(参照)すばる望遠鏡