ISS(国際宇宙ステーション)から見た「かなとこ雲」

積乱雲が発達すると雲の頂部が平らに広がることがあります。そのような雲は「かなとこ雲」と呼ばれます。「かなとこ(鉄床、金床)」とは金属を加工するときに使われる台のことで、形が似ていることから名付けられました。今回の記事では、アストロピクスでこれまで掲載してきた、ISS(国際宇宙ステーション)から見た「かなとこ雲」の写真を4枚まとめて紹介します。

アフリカ西部、セネガルとマリの国境付近の上空から2008年2月5日に撮影された写真です。積乱雲の頂部が対流圏と成層圏の境界(対流圏界面)に達すると、積乱雲はそれ以上、上に発達することができず横に広がっていき、この写真のような「かなとこ雲」が形成されます。対流圏界面は高緯度地方では高度約10km、熱帯地方では高度約20kmにあります。

2014年10月30日、パプアニューギニア上空を通過中のISSから撮影された日没時の写真です。地球の縁の大気に、かなとこ雲がシルエットとなって映っています。オレンジ色に見える部分が対流圏、その上が成層圏です。かなとこ雲は、ISSから西へ1500kmほど離れたオーストラリア北部、あるいはカーペンタリア湾に発生したものとみられます。

ISSが昼夜境界付近に向かって飛行中に、ブラジル北東部の沿岸付近の雲をとらえた写真です。高くそびえる積乱雲などに低い角度から太陽光が当たり、雲の影が長く伸びています。かなとこ雲の雲頂から、雲がさらに成層圏にまで突き抜けて盛り上がることがあります。写真には、そのような雲も見られます。2019年9月16日に撮影された写真です。

2016年7月29日、南シナ海上空のISSから撮影された写真です。この写真でも低い角度から太陽光が当たっており、雲の右側に影が落ちています。

Image Credit: NASA、Image courtesy of the Earth Science and Remote Sensing Unit, NASA Johnson Space Center

(元記事)
宇宙から見た巨大な「かなとこ雲」国際宇宙ステーションからとらえた「かなとこ雲」のシルエットかなとこ雲から伸びる長い影 〜 ISSから見た風景ISSからみた南シナ海に出現した巨大な雲