ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の火星探査機マーズ・エクスプレスがとらえた火星の三重クレーター。これらのクレーターは火星の南半球、ノアキス大陸(Noachis Terra)にあります。この地域では約40億年前の時代に多くのクレーターが形成されました。この時代のクレーターの中には現在も残っているものもあります。
画像に映る三重クレーターは、直径140kmのルヴェリエ・クレーターのすぐ東側にあります。三つのクレーターのうち最大のものは直径45km、最小のものは直径28kmの大きさです。
クレーターの三重構造ができた原因としては、一つの小天体が地表に衝突する前に三つに分裂したためかもしれません。あるいは偶然の一致ということも考えられます。異なる時期に三つの小天体が別々に衝突して、偶然きれいに重なったというものです。
火星の南半球にある他の古いクレーターと同様、これらの三つのクレーターは縁が低くなっており底が浅く、形成されてから40億年の間に堆積物に満たされてきました。最も小さなクレーターには氷の痕跡もみられます。
これは三重クレーターを真上から見た画像です。冒頭の画像とともに2020年10月29日にリリースされました。
なおノアキス大陸やルヴェリエ・クレーターの位置については過去記事「火星の高度マップ」に掲載した地名入り高度マップをご覧ください。
Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin, CC BY-SA 3.0 IGO
(参照)ESA