ダークマターの小規模なゆらぎを初検出 アルマ望遠鏡の観測 | アストロピクス

【Googleニュースでアストロピクスをフォローして新着記事をチェック!】

ダークマターの小規模なゆらぎを初検出 アルマ望遠鏡の観測

今回の観測によって検出されたダークマターのゆらぎ。明るいところほどダークマターの密度が高いことを示しています。青白色は、アルマ望遠鏡が観測したクエーサーの見かけの像。Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), K. T. Inoue et al.
今回の観測によって検出されたダークマターのゆらぎ。明るいところほどダークマターの密度が高いことを示しています。青白色は、アルマ望遠鏡が観測したクエーサーの見かけの像。Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), K. T. Inoue et al.

宇宙には星や銀河など電磁波で観測できる物質よりも、正体不明のダークマター(暗黒物質)がはるかに多く存在しています。ダークマターは電磁波で観測することはできませんが、質量があり重力を周囲に及ぼします。

その重力により、遠方の天体からやってくる光の経路がわずかに変化します。そのような効果は「重力レンズ効果」と呼ばれ、その観測からダークマターは銀河や銀河の集団などとともに存在していることがわかっています。ただ、より小さなスケールでどのように分布しているのかはわかっていませんでした。

画像中央は重力レンズ効果をもたらした銀河。クエーサーの見かけの位置などは、銀河のみの重力レンズ効果では説明できませんでした。Image Credit: NAOJ, K. T. Inoue
画像中央は重力レンズ効果をもたらした銀河。クエーサーの見かけの位置などは、銀河のみの重力レンズ効果では説明できませんでした。Image Credit: NAOJ, K. T. Inoue

近畿大学などの研究チームは、アルマ望遠鏡を使って110億光年の距離にあるクエーサー「MG J0414+0534」を観測しました。このクエーサーは、手前側にある銀河の重力レンズ効果によって、4つの像に分かれて見えます。

ただ今回観測されたそれらの見かけの像の位置や形は、手前の銀河による重力レンズ効果のみから計算されるものとは異なっており、小さなダークマターの複数の塊による重力レンズ効果がはたらいていることがわかりました。

解析の結果、3万光年程度のスケールで、ダークマターの空間的なゆらぎがあることが明らかになりました。これほど小さなスケールでゆらぎが観測されたのは初めてです。この結果は、「冷たいダークマター(コールドダークマター)」の理論的な予測と一致するものだったとのことです。なお冷たいダークマターとは、比較的エネルギーが低く、低速で運動しているダークマターのことです。

(参照)アルマ望遠鏡国立天文台