赤色巨星の恒星風の形状をこれまでになく詳細にとらえた!

これらの画像は、さまざまな赤色巨星から放出される恒星風を、アルマ望遠鏡でとらえたものです。恒星風とは星の表面から放出されるガスの流れのことで、恒星風が放出されることで星の質量が減少します。画像の青色は近づいてくる物質、赤色は遠ざかる物質を示しています。

星は中心部での核融合反応の燃料となる水素が尽きると膨らんで赤色巨星になります。太陽の0.8〜8倍の質量の星では、赤色巨星の外層のガスが放出され、やがて後に残った星の“芯”からの紫外線でまわりのガスが電離して輝き、「惑星状星雲」と呼ばれる天体になります。

星は球形をしていますが、惑星状星雲にはさまざまな形があり、球状のものはほとんどありません。今回、ベルギー、ルーヴェン・カトリック大学のLeen Decin氏らの研究チームは、アルマ望遠鏡で赤色巨星の恒星風を観測したところ、恒星風が球状に放出されてはおらず、円盤状、らせん状、円すい状の形状がみられました。なかには惑星状星雲に似た形で放出されているものもありました。

そのような恒星風の形状は連星系をなす伴星、あるいは星を公転する惑星の存在で説明できると研究チームでは考えています。これまで星の進化の計算は、年老いた太陽のような星は恒星風を球状に放出すると仮定して行われていました。恒星風の複雑さを考えると、年老いた星の質量損失率についてのこれまでの推定は1桁違っている可能性があるそうです。

太陽の場合、質量の大きな木星や土星が恒星風の形状に影響するとのこと。研究チームの計算では、年老いた太陽の恒星風は弱いらせん状になることが示されています。

Image Credit: L. Decin, ESO/ALMA

(参照)ALMAKU Leuven