巨大な銀河団を取り巻く遠方銀河の光の弧 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影 | アストロピクス

巨大な銀河団を取り巻く遠方銀河の光の弧 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影

この画像はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえたものです。中央に巨大な銀河団Abell S1063が映っており、そのまわりを光の弧が取り囲んでいます。銀河団Abell S1063は、つる座の方向、45億光年の距離にあります。銀河団を取り巻く光の弧は、さらに遠方に存在する銀河がゆがんで見えているものです。

アインシュタインの一般相対性理論によると、質量をもつもののまわりでは空間が歪み光が曲がります。まるでレンズのようなはたらきをすることから、そのような現象は「重力レンズ」と呼ばれます。銀河団は非常に質量が大きいため、奥にある遠方銀河からの光が曲げられて、画像に見られるような光の弧を作り出しました。形がゆがんでいるものの、遠方銀河の像は拡大され明るくなっています。銀河団を拡大鏡のように用いて、昔の宇宙を調べることができます。

Abell S1063は以前、ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたことがあります。ウェッブ望遠鏡が近赤外線カメラ(NIRCam)で撮影した新たな画像では、さまざまな距離にあるゆがんだ銀河や、数多くのかすかな銀河、またこれまで見えなかったものも明らかになっています。観測チームの解析により、宇宙誕生2億年後に存在していた銀河の候補が見つかっているとのことです。

ウェッブ望遠鏡のウェブページでは毎月、「Picture of the Month(今月の1枚)」の画像を公開しています。今回紹介した画像は2025年5月27日にPicture of the Monthとして掲載されたものです。

(参考)銀河団内を漂流する星々が放つ淡い光 ハッブル望遠鏡が撮影

(参考)「ウェッブ望遠鏡Picture of the Month」記事一覧

Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, H. Atek, M. Zamani (ESA/Webb); Acknowledgement: R. Endsley

(参照)ESA/Webb