小惑星カリクロのリングによる掩蔽をウェッブ望遠鏡が観測成功

太陽系の天体でリング(環)といえば土星が最も有名ですが、木星や天王星、海王星にも、目立たないながらもリングは見つかっています。一方で地球や火星などの岩石惑星にはリングはありません。ただ直径が地球の50分の1ほどしかない「カリクロ」という名の小惑星にはリングがあることが知られています。

カリクロは、土星軌道と天王星軌道の間を公転している小惑星です。ケンタウルス族と呼ばれる小惑星のグループの中で最大の天体で、直径は250kmほどあります。そのカリクロにリングが発見されたのは2013年のことです。リングはカリクロの中心から約400kmのところを周回しています。

遠くにある天体の手前を別の天体が通り、遠くの天体を隠すことを「掩蔽」といいます。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、恒星の手前をカリクロが通過した際、リングによる掩蔽の観測に成功しました。

この図は、2022年10月18日にカリクロのリングが恒星(Gaia DR3 6873519665992128512)の手前を通過したときの光度曲線です。観測はウェッブ望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)で行われました。リングのところで恒星の明るさが落ちているのがわかります。なおリングは幅6〜7kmのものと幅2〜4kmのものの2本が、9kmの間隔を空けて存在しています。光度曲線から、リングの厚さ、リング粒子のサイズや色などを調べることになるとのことです。

こちらは掩蔽をとらえた映像です(Credit: NASA, ESA, CSA, and Nicolás Morales (IAA/CSIC).)。およそ1時間で撮影された画像から作られました。中心にあるのが恒星で、動いている天体がカリクロです。ウェッブ望遠鏡が掩蔽を観測したものとしては初めての画像とのことです。

IMAGE CREDIT: NASA, ESA, CSA, L. Hustak (STScI). SCIENCE: Pablo Santos-Sanz (IAA/CSIC), Nicolás Morales (IAA/CSIC), Bruno Morgado (UFRJ, ON/MCTI, LIneA).

(参照)Webb Space Telescope