天の川銀河中心の超巨大ブラックホール近傍では連星は少なく単独の星が多いことが判明

天の川銀河の超巨大ブラックホールのまわりを回る星の軌道。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のDevin Chu氏らは、ハワイ島、マウナケア山頂にあるW.M.ケック天文台で観測を行いました。Image Credit: Galactic Center Orbits Initiative/W. M. Keck Observatory
天の川銀河の超巨大ブラックホールのまわりを回る星の軌道。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のDevin Chu氏らは、ハワイ島、マウナケア山頂にあるW.M.ケック天文台で観測を行いました。Image Credit: Galactic Center Orbits Initiative/W. M. Keck Observatory

カリフォルニア大学ロサンゼルス校などの研究チームは、天の川銀河の中心にある超巨大ブラックホール「いて座A*」の近くにある恒星を10年間にわたり観測、それらに伴星が存在しないことを明らかにしました。観測した星には約600万歳の若い大質量星(B型星)も含まれています。そのような若い大質量星は通常、連星または三重連星として過ごすことが多いとのことです。

また、若い大質量星の連星率の上限が47%と導き出されました。これは大質量星100個につき最大47個が連星系である可能性があることを意味します。この値は、太陽近傍にある同じような若い星の連星率である70%と比べて大幅に低い値となっています。

今回の発見は、天の川銀河の超巨大ブラックホールの極限環境においては、恒星が伴星と一緒にとどまることが難しいことを示唆しており、ブラックホールが付近の連星を合体または崩壊させるというシナリオと一致するとのことです。【1分で読む宇宙ニュース】

(参照)W.M. Keck Observatory