2019年4月、楕円銀河M87の中心のブラックホールシャドウを、イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)で撮影した画像が公開されました。この画像は2017年に行われた観測に基づくものでした。
2017年の観測は1週間で行われたもので、時間変化を追うには短すぎました。そこでEHTの研究者たちは、2009〜13年に取得されたM87の試験観測データを解析しました。
2009〜13年に得られたデータは、2017年の観測に比べ情報量がはるかに少ないため画像化はできません。そこでEHTの研究者は統計的手法を駆使してM87の中心核のようすを調べました。
解析の結果、2017年の観測で得られた画像に見られる非対称なリング構造が8年間にわたり存在することが示唆されました。また、リング構造の大きさが変化しない一方で、リング中の明るく光る領域の方向が時間とともに変化し、ゆらいでいるようすがとらえられました。これは事象の地平面付近でブラックホールに流れ込むガス流の構造の時間変化の片鱗をとらえたものとみられています。