ハッブル望遠鏡がとらえた銀河団Abell 611 | アストロピクス

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ハッブル望遠鏡がとらえた銀河団Abell 611

この画像に映っているのは、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた銀河団Abell 611です。Abell 611は、やまねこ座の方向、32億光年以上の距離にあります。

銀河団のような巨大な質量をもつ天体があると、同じ方向でより遠方にある銀河からの光が銀河団の重力によって曲がり、遠方銀河の像が明るくなったり歪んだりすることがあります。そのような効果は「重力レンズ」と呼ばれています。

この画像にも、Abell 611の重力レンズ効果によって歪んだ遠方銀河の像が映っています。最も目立つのは、中央左に縦に長く伸びた銀河の像です。

全ての銀河団ではダークマター(暗黒物質)が支配的であると考えられており、Abell 611も例外ではありません。ダークマターは、電磁波で観測することはできないけれども重力は及ぼすという正体不明の物質です。

重力レンズによって光がどれくらい曲げられたのかを調べることで、銀河団の真の質量を推定することができます。そのようにして推定した質量と、電磁波で観測可能な銀河団の構成要素から推定される質量を比べると、非常に大きな差があります。Abell 611のような銀河団に限らず、宇宙にはダークマターが大量に存在していると考えられています。

画像はESA/Hubbleから2022年10月27日に公開されました。

Image Credit: ESA/Hubble, NASA, P. Kelly, M. Postman, J. Richard, S. Allen

(参照)ESA/Hubble