ハッブルがとらえた「スーパーバブル」を抱える大マゼラン銀河の星雲「N44」 | アストロピクス

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ハッブルがとらえた「スーパーバブル」を抱える大マゼラン銀河の星雲「N44」

この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡が「N44」と呼ばれる星雲を捉えたものです。N44は大マゼラン銀河にある輝線星雲で、地球から約17万光年の距離にあります。

N44は、恒星からの放射によって電離した水素ガスが光を発することで輝いています。また暗い塵や大質量星、さまざまな星の集団も星雲には含まれています。画像上部に見られる、大きく穴が空いたように見える「スーパーバブル」と呼ばれる泡のような構造が特徴的です。

スーパーバブルの直径は250光年ほど。その成因は、泡の内部にある恒星からの恒星風によるとも、超新星爆発によるとも言われています。バブルの内部と周縁部の星では、年齢の違いが約500万年あることが確認されており、これは複数の連鎖的な星形成イベントがあったことを示しています。またバブルの内部には高温ガスが存在していることが、チャンドラX線望遠鏡の観測からわかっています。

スーパーバブルの右下(5時の方向)にある青色の領域は、星雲内で最も高温の領域の1つで、最も強烈な星形成が進んでいる領域です。

画像は2021年11月2日にNASA(アメリカ航空宇宙局)からリリースされました。

Image credit: NASA, ESA, V. Ksoll and D. Gouliermis (Universität Heidelberg), et al.; Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America)

(参照)NASA