南米チリの夜空を彩るレッドスプライトと大気光、そして2つの1等星 | アストロピクス

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南米チリの夜空を彩るレッドスプライトと大気光、そして2つの1等星

この写真は2022年8月22日にESO(ヨーロッパ南天天文台)の「今週の1枚(Picture of the Week)」として公開されたものです。南米チリにあるESOラ・シヤ天文台から撮影されたこの写真には、「レッドスプライト」と呼ばれる高層大気の放電発光現象が映し出されています。

画面中央の右下側の山際から噴き出しているかのように見える赤い部分がレッド・スプライトです。レッドスプライトは、雷雲上空の50〜90kmの高層大気で発生します。私たちがふだん目にする稲妻よりも低温で、はるかに暗く見えます。レッドスプライトをとらえるのは難しく、最初に撮影されたのは1989年のことでした。

夜空には大気光が緑の色合いでぼんやりと輝いています。日中、太陽光が大気中の窒素や酸素から電子を分離し、夜になってそれらの電子が原子や分子と再結合して淡く輝きます。大気光は通常、光害のない非常に暗い空でしか見られません。ラ・シヤ天文台は標高が高く光害もないため大気光が映し出されています。

この写真には、全天で最も明るい星と2番目に明るい星がそろって映っています。画面左端にあるのが最も明るいおおいぬ座の1等星シリウス、右上にあるのが2番目に明るいりゅうこつ座のカノープスです。

Image Credit: Zdenek Bardon/ESO

(参照)ESO