この画像に映っているのは、みずがめ座の方向、約9000万光年の距離にある特異銀河NGC 7727です。南米チリにあるジェミニ南望遠鏡で撮影されました。
この銀河は、約10億年前に始まった2つの銀河の合体の結果できたものです。画像には、星間塵やガスが、まるで綿あめのように銀河の中心部のまわりを包み込んでいるのが映し出されています。
2つの超巨大ブラックホールが存在
NGC 7727の中心付近には、それぞれ超巨大ブラックホールを宿す2つの銀河核が存在していることが知られています。超巨大ブラックホールの1つは太陽の1億5400万倍の質量、もう1つは太陽の630万倍の質量をもっており、約1600光年離れて存在しています。約2億5000万年後には合体し、さらに巨大な1つのブラックホールになるとみられています。これらは、超巨大ブラックホールのペアとしては、地球から最も近いところで発見されたものです。
(参考記事)観測史上最も近くで発見された超巨大ブラックホールのペア
NGC 7727は、最終的には古い星で構成される1つの楕円銀河になると考えられています。私たちの天の川銀河とアンドロメダ銀河も数十億年後には合体して最終的に楕円銀河になるとみられています。NGC 7727は、天の川銀河とアンドロメダ銀河の未来の姿をみせてくれているのかもしれません。
(参考記事)天の川銀河とアンドロメダ銀河は40億年後に衝突、70億年後には1つの楕円銀河に
画像はNOIRLab(アメリカ光学・赤外天文学研究所)から2023年10月26日に公開されました。
Credit:
International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA
Image processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), J. Miller (International Gemini Observatory/NSF’s NOIRLab), M. Rodriguez (International Gemini Observatory/NSF’s NOIRLab), M. Zamani (NSF’s NOIRLab)
(参照)NOIRLab