初期宇宙でモンスター・ブラックホールを発見!

ジェミニ天文台とセロ・トロロ汎米天文台(CTIO)の観測から、これまで知られている中で2番目に遠方、宇宙誕生7億年後のクエーサーが発見されました。このクエーサーJ1007+2115には、ハワイの言葉で「Pōniuāʻena」(※)と名付けられました。

Pōniuāʻenaには、最遠のクエーサー(J1342+0928)にあるブラックホールの2倍の質量を持つモンスター・ブラックホールが存在しています。そのブラックホールの質量は太陽の15億倍。太陽の10億倍以上の質量のブラックホールを持つ天体としては最も遠い距離で発見されたものです。

ビッグバンからしばらくの間、宇宙には水素やヘリウムなどの原子が漂っているだけで、星や銀河はありませんでした。星や銀河が誕生したのは、宇宙誕生4億年後の「再電離の時代」だったと考えられています。

ビッグバンの直後は高温のため、水素の原子核と電子がばらばらな電離状態でしたが、しだいに低温になっていき約37万年後になると電子が陽子にとらえられて電気的に中性の状態になりました。しかし宇宙誕生から9億年ほど経過するころまでに、再び電離したことが分かっています。天体が放射する紫外線によって電離したと考えられています。

Pōniuāʻenaの発見は、そのような宇宙の再電離、また宇宙初期の超巨大ブラックホールや大質量銀河の形成を理解するための重要な一歩になるとのことです。

※プレスリリースによると、「Pōniuāʻena」は「unseen spinning source of creation, surrounded with brilliance」という意味とのことです。

Image Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/P. Marenfeld

https://www.nationalastro.org/news/monster-black-hole-found-in-the-early-universe/