2020年2月15日、ミニムーン(微小衛星)「2020 CD3」が発見されました(発見時の記事→「地球をまわる「第2の月」を発見」)。ミニムーンとは、地球の重力にとらえられ、一時的に地球周回軌道へ入った小天体のことです。世界各地の研究者が参加した研究チームが2020年5月中旬まで2020 CD3の観測を行い、この度その成果が発表されました。なお初めて発見されたミニムーンは、2006年に発見された「2006 RH120」です。
発表によると、2020 CD3についてさまざまな特徴が明らかになりました。自転速度は約3分。また2020 CD3の位置を正確に測定し軌道が精密に求められました。これまで自然物なのか人工物なのか確定していませんでしたが、軌道情報と天体の組成の情報を合わせ、2020 CD3が自然物の天体であることが示されたとのことです。直径は1〜1.5mで、地球周回軌道に2.7年間とどまった後、2020年4月に周回軌道から離れていきました。最接近時には地球から約1万3000km以内まで近づいたと推定されています。
研究チームによれば、2023年にベラ・ルービン天文台での本格観測がスタートすれば、多くのミニムーンが発見される可能性があるとのことです。南米チリにあるベラ・ルービン天文台では現在、8.4mシモニー・サーベイ望遠鏡(大型シノプティック・サーベイ望遠鏡)の建設が進められています。シモニー・サーベイ望遠鏡は、一度に非常に広い範囲を観測できる望遠鏡で、10年間にわたり全天サーベイを繰り返し行う計画が予定されています。