赤い銀河の周りで円弧を描く「アインシュタイン・リング」

画像中央のやや右下側に、円で囲まれた「LRG 3-757」と呼ばれる赤い銀河が映っています。LRGとは「Luminous Red Galaxy」の頭文字をとったもので、スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)で数多く発見された明るく赤い銀河であることを示しています。この銀河は天の川銀河の10倍もの質量を持っている非常に大質量の銀河です。

ただ画像に映る真の主役は、この赤い銀河ではなく、その周囲にある青い馬蹄形の天体です。これには「宇宙の蹄鉄(Cosmic Horseshoe)」という愛称が付けられています。

この天体は、重力レンズ効果によって生じた「アインシュタイン・リング」と呼ばれるものです。巨大な質量を持つ天体のまわりでは空間がゆがみ、そのため遠方の天体からの光が曲がり天体の像がゆがみます。その「重力レンズ効果」によって、遠方の天体がリング状にゆがんだものは「アインシュタイン・リング」と呼ばれます。

アインシュタイン・リングは、手前の天体と遠方の天体が、ほぼ直線上に位置しているときに現れます。青く輝く遠方の天体は、宇宙誕生30億年後ごろの天体です。

画像はハッブル望遠鏡のWFC3(広視野カメラ3)を使い、可視光と赤外線で撮影されました。2011年12月19日にハッブル望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」として公開された画像です。

Image Credit: ESA/Hubble & NASA

(参照)ESA/Hubble