火星で観測された「月食」

この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車スピリットが火星表面から空を撮影したもので、火星の「月食」が映っています。

地球で見られる月食は、地球の影の中に月が入ることで起こります。火星も同様です。火星にはフォボスとダイモスという2つの小さな衛星がありますが、そのうちのフォボスが火星の影に入る前後のようすをとらえたのが上の画像です。画像はスピリットが撮影した8枚の画像を合成したもので、画像の中央付近に映るフォボスは左下から右上に向かって動いています。

撮影されたのは2005年10月20日(639火星日)でした。フォボスの「月食」は26分以上続きましたが、スピリットは最初の15分のみ観測することができました。最初の3枚の画像では、フォボスに太陽光が当たり明るく見えています。4枚目の画像は、フォボスが火星の影に入り始めた場面です。5枚目の画像でもフォボスにはわずかに太陽光が当たっています。

6〜8枚目の画像では、フォボスは完全に火星の影の中に入っています。ただ真っ暗にはなっていません。地球での月食と同じように、火星の大気で屈折した光がフォボスに当たっているためです。

参考記事:地球の月と火星の「月」、惑星表面からの見た目の大きさ比較

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/Cornell

(参照)Planetary Photojournal