地震計につながるケーブルに砂をかける火星着陸機インサイト

NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星着陸機インサイト(InSight)は、2021年3月14日に、ロボットアームのスコップを使い、地震計のカバーや、探査機と地震計を結ぶケーブルに火星の砂をかけ始めました。

インサイトの着陸地点付近の気温は、夜のマイナス100℃から日中の0℃まで大きく変化します。そのような極端な温度変化によってケーブルが伸縮して音が鳴って観測の妨げになることがあります。それを低減するため、ケーブルに砂をかけることにしたのです。

インサイトは2021年3月に、火星のケルベロス地溝帯で発生した2つの強い火震(火星の地震)を検出しました。インサイトは以前、M(マグニチュード)3.6とM3.5の火震を検出したことがありますが、今回検出された火震はM3.3と3.1でした。

インサイトは2018年11月に火星へ着陸してから2年以上が経過しています。インサイトの太陽電池パネルには塵が積もっており、また現在は火星が太陽から遠ざかるにつれて電力が低下しているとのことです。火星が再び太陽に接近し始める7月以降は、エネルギーレベルが改善される見込みです。それまでの間、インサイトは観測機器の電源を順次落として冬眠状態に入ります。冬眠している間も定期的に目覚めさせて健康状態をチェックし、地球と通信することになっています。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech

(参照)Mars Exploration Program