
ハッブル宇宙望遠鏡は1990年4月24日に打ち上げられました。NASA(アメリカ航空宇宙局)は、ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ35周年(2025年4月24日)に向けて、これまでハッブルが撮影してきた画像から、「35 Years of Hubble Images」と題して各年1枚ずつ選んで紹介しています。画像は11年目の画像として紹介されているもので、惑星状星雲IC 418が映っています。IC 418は、うさぎ座の方向、約2000光年の距離にあります。
惑星状星雲は、太陽と同じくらいの質量の恒星の進化の最終段階の姿です。IC 418の中心にある星は数千年前まで赤色巨星と呼ばれる膨らんだ星でした。その後、星の外層のガスを放出して星雲を形成、現在は約0.1光年まで広がっています。中心にある星の「芯」からの紫外線が周囲のガスを電離して輝いています。
IC 418は「スピログラフ星雲」とも呼ばれます。スピログラフは、円形の穴に歯車状の突起がついた円盤を入れ、ぐるぐる回しながら幾何学的な模様を描くことができる道具です。IC 418の、スピログラフで描いたような模様がどうやって生じたのかは分かっていません。
画像は、ハッブル宇宙望遠鏡のWFPC2(広視野惑星カメラ2)で1999年2月と9月に撮影され、2000年9月に公開されました。
(参考)「35 Years of Hubble Images」記事一覧
Image Credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA); Acknowledgment: Dr. Raghvendra Sahai (JPL) and Dr. Arsen R. Hajian (USNO)