ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が木星をとらえた画像が公開されました。こちらの画像はウェッブ望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で撮影された擬似カラー画像です。
NIRCamには、惑星の詳細を示す3つの赤外線フィルタが備えられています。赤外線は人間の目では見えないため、それぞれのフィルタで撮影された画像は、可視光に割り当てられて合成されます。一般的には最も長い波長の赤外線が赤、短い波長の赤外線が青に割り当てられます。今回、ウェッブから送られてきたデータを画像に変換する作業は、市民科学者のJudy Schmidtさんが行いました。
画像には、北極と南極の両方で高い高度までオーロラが広がっているのが映っています。オーロラは赤みを帯びた色に割り当てられたフィルタで輝いており、そのフィルタはまた、下層の雲や上層のもやに反射された光も目立たせています。
黄や緑は、北極と南極のまわりを渦巻くもやを示しています。青に割り当てられたフィルタは、より深いところにある雲から反射された光を示しています。
南半球にある、地球がまるごと1個入ってしまうほどの巨大な嵐「大赤斑」は、この画像では他の雲と同じように白っぽく見えています。白っぽく見えるのは、それらの嵐や雲が太陽光を多く反射しているためです。
この画像で明るい場所は高度が高いことを示しており、大赤斑には赤道地域と同様、もやが高高度に存在しています。あちらこちらに見られる斑点状あるいは細長い形の明るく白い部分は、非常に高い高度の雲頂である可能性があります。
広視野の画像には木星のリングや小さな衛星も
より広い視野でとらえられたこちらの画像には、木星とともに、木星より100万倍も暗いリングや、アマルテアやアドラステアといった2つの小さな衛星が映っています。画面下の方、背景の宇宙空間に白くぼんやりと映っているのは遠方銀河の可能性が高いとのことです。
画像はNIRCamの2つのフィルタを使って撮影した画像を合成したものです。元データは2022年7月27日に取得されました。
こちらの画像には、リングや衛星の位置がわかるように文字が入れられています。
(参照)ESA/Webb(1)、(2)、(3)、James Webb Space Telescope - NASA Blogs