ハッブル宇宙望遠鏡が見た天王星のリングの傾きの変化 | アストロピクス

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ハッブル宇宙望遠鏡が見た天王星のリングの傾きの変化

アストロピクスでは昨日、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた天王星の画像を紹介しました。それらは2014年と2022年に撮影されたもので、リングも同時に映っていました。上の画像は、2014年、2022年の画像に過去の画像を追加して編集部で作成したものです。2003年、2005年、2007年の画像はハッブル宇宙望遠鏡のACS(掃天観測用高性能カメラ)とWFPC2(広視野惑星カメラ2)で、2014年、2022年の画像はWFC3(広視野カメラ3)で撮影されました。

天王星の自転軸は約98度傾いており、ほぼ横倒しの状態で公転しています。天王星が太陽を1周するのにかかる期間は約84年。1986年にボイジャー2号が天王星に接近したころは天王星の南極がほぼ太陽方向を向いていましたが、2022年の画像では北極が見えています。

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土星とは異なるリングの見え方の変化

一連の画像では、地球から見た時の天王星のリングの傾きの変化もわかります。2003年の画像では天王星の南側からリングが見えており、2007年にはちょうど真横からリングが見えています。それ以降は天王星の北側からリングが見えるようになり、2022年の画像ではリングがかなり円形に近づいています。天王星は2028年に北半球の夏至を迎え、リングも真上から見えるようになります。

リングが真上から見えるのは、天王星の自転軸が横倒しになっているからです。自転軸の傾きが約27度の土星の場合、地球からリングが傾いて見えることはありますが、真上から見えることはありません。

ハッブル宇宙望遠鏡が1996年(左下)から2000年(右上)にかけて撮影した土星。Image Credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)
ハッブル宇宙望遠鏡が1996年(左下)から2000年(右上)にかけて撮影した土星。Image Credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)

Main Image Credit:
(左から3枚)NASA, ESA, and M. Showalter (SETI Institute)
(右から2枚)SCIENCE: NASA, ESA, STScI, Amy Simon (NASA-GSFC), Michael H. Wong (UC Berkeley); IMAGE PROCESSING: Joseph DePasquale (STScI)

(参照)Hubblesite(1)(2)