土星探査機カッシーニが2007年9月10日に高解像度でとらえた土星の衛星イアペタスです。撮影時、カッシーニ探査機はイアペタスから約7万3000kmの距離に位置していました。
イアペタスは土星で3番目に大きな衛星で、平均半径は736kmあります。イアペタスの下側には直径450kmの衝突クレーターが見えています。よく見ると、同じような大きさのクレーターと重なっているのが分かります。
地球の月が常に地球へ同じ面を向けているのと同じように、イアペタスは常に同じ面を土星に向けています。この画像に映っているのは、イアペタスの進行方向後ろ側です。
アストロピクスでも以前紹介しましたが、イアペタスは進行方向の前面と後面では明るさが全く違います。後面はこの画像のように明るいのですが、前面はかなり暗い色をしています。
暗い物質が太陽熱を吸収して氷などの揮発性物質が昇華し、昇華した物質が極地や反対側の半球で凍りつきます。氷が昇華した暗い場所はさらに暗くなり、反対側の半球ではより明るくなっていきます。そのようにしてイアペタスの2面性が生じているのではないかとみられています。外から暗い物質が降り積もってきたことが、このようなプロセスのきっかけだった可能性があります。
Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute