土星のリングと三つの月

この画像はカッシーニ探査機が撮影したもので、土星のリングとともに三つの衛星が同時に映っています。一部、露出オーバーで白飛びしていますが、リングと複数の月という、地球では決して見ることができない光景が映し出されています。

いちばん上に映っているのは土星最大の衛星タイタン(直径5149km)です。太陽系全体で見ても、木星の衛星ガニメデ(直径5262km)に次いで衛星としては2番目に大きな天体です(参考記事:太陽系の衛星 大きさトップ10)。また太陽系の衛星としては唯一、タイタンには分厚い大気が存在しています。

いちばん下は衛星テティスで、この画像でもクレーターが多いことが分かります。直径1071kmのテティスは、土星の主要な氷衛星の一つで、水の氷に近い密度を持っています。巨大な峡谷など、凍てついた表面に地殻変動が起きた痕跡が見られます。

画像中央付近には土星のFリング、左のほうにはAリングの外縁部が見えています。Fリングの先端付近に見える小さな衛星は直径116kmほどのエピメテウスです。エピメテウスは、衛星ヤヌスと公転軌道を共有しており、定期的に軌道が入れ替わります。

最も大きく見えているタイタンが手前にあるように思われるかもしれませんが、実際にはタイタンがカッシーニ探査機から最も遠くにあります。撮影時、カッシーニ探査機はタイタンから270万km、エピメテウスから140万km、テティスが最も近く120万kmの距離に位置していました。タイタンまでは、テティスの2倍以上の距離があるのです。

画像は2005年2月19日に、カッシーニ探査機の狭角カメラで撮影されました。2枚の画像がモザイク合成されています。

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute

(参照)Planetary Photojournal