木星の衛星エウロパとガニメデについて、地上からとらえたものとしてはこれまでで最も鮮明な画像が撮影されました。これらの画像は、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)に設置されたSPHEREという装置を使い赤外線で撮影されたものです。画像に映っているのは、1枚目がエウロパ、2枚目がガニメデです。
木星では多くの衛星が発見されていますが、とくに大きな4つの衛星イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストは「ガリレオ衛星」と呼ばれています。エウロパは地球の月よりやや小さいサイズの衛星です。一方、ガニメデは惑星である水星よりも大きく、衛星としては太陽系最大の天体です。(参考記事:太陽系の衛星 大きさトップ10)
赤外線スペクトルから表面の組成を明らかに
イギリス、レスター大学の大学院生Oliver King氏らの研究チームは、赤外線スペクトルからエウロパとガニメデの表面の組成を明らかにしました。エウロパの地殻は主に水の氷で構成されており、表面には氷ではない物質が混じっています。King氏は「私たちは硫酸の霜を含む、表面にあるさまざまな物質の分布をマッピングしました」と語っています。
一方ガニメデの表面は、主に2つの異なるタイプの地形で構成されています。水の氷が大量にある若い領域と、主に暗い灰色をした組成不明の物質で構成されている古い領域です。画像では青く示されている氷の領域にはガニメデの極冠とクレーターが含まれており、衝突現象によって地殻の新鮮な氷が露出しているとみられています。研究チームは、ガニメデの氷粒子のサイズが表面全体でどのように変化するか、またさまざまな塩が分布している可能性を示しました。その一部はガニメデ内部から生じたものかもしれません。
こちらはESOの「今週の1枚(Picture of the Week)」として2022年10月10日に公開された画像です。下に並ぶ枠内の画像に映っているのは、いちばん左がエウロパで、残りの3枚はガニメデです。