太陽より低温の「K型星」と呼ばれるタイプの恒星である「HD 23472」に5つの太陽系外惑星の存在を確認したとする研究が、ポルトガル天体物理学・宇宙科学研究所のSusana Barros氏らの国際研究チームによって発表されました。
HD 23472で、外側を公転する2つの惑星は以前から知られていました。今回、研究チームは新たに内側の3つの惑星を発見しました。5つのうち内側を公転する2つの惑星は、太陽系の水星に似た組成をしており、水星より大きな質量をもった「スーパーマーキュリー」だと見られています。残りの3つは地球に似た「スーパーアース」です。スーパーマーキュリーは今回発見された2つを含めても、これまでに合計8個しか見つかっていない珍しい系外惑星です。
「同じ星系で2度の巨大衝突が発生したことは考えにくい」
水星は、太陽系の他の岩石惑星と比べて核が大きくマントルが薄いという特徴をもっていますが、なぜそうなったのかは分かっていません。巨大衝突によってマントルの一部が飛散したとする説や、水星ができた頃に活発だった太陽にあぶられて表面が高温となり蒸発したとする説など、いくつかの説が考えられています。
今回、1つの恒星のまわりに2つのスーパーマーキュリーが発見されたことは、水星がどのように形成されたのかを知る手がかりになると研究チームでは考えています。「たとえばスーパーマーキュリーを形成するほどの巨大衝突の起こりにくさを考えると、同じ星系で2度の巨大衝突が発生したことは考えにくい」とBarros氏は述べています。
研究チームの一人であるOlivier Demangeon氏は「この2つのスーパーマーキュリーがどのように形成されたのかを理解するには、これらの惑星の組成をさらに詳しく調べる必要がある」としています。研究チームはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡や、現在建設中の口径39mのELT(超大型望遠鏡)に搭載される分光器ANDESなどによる将来的な観測に期待を寄せています。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech
(参照)IA