アフリカのチャドにあるトゥシデ火山を、地球観測衛星ランドサットが撮影した画像です。トゥシデ火山は、チャド北部のティベスティ山地の西端にあります。インクをこぼしたかのように周囲に比べて黒くなっているのが特徴的です。画像は2001年1月22日と2000年2月1日に撮影された画像を合成したものです。
トゥシデ火山は、地質学的には比較的最近に噴火した火山で、噴火の痕跡が地表を黒く染めています。周囲には噴火の際に噴出したテフラ(火山弾や火山礫、火山灰などの総称)が残っています。テフラは凝灰岩や溶岩のような固まった火山岩ほど長くは地表に残りません。テフラの存在はかなり最近の火山活動だったことを示唆しています。画像の中央付近には「ピック・トゥシデ」と呼ばれる溶岩ドームが突き出しているのが映っています。
ピック・トゥシデの東(右)の方には、カルデラが2つ見えています。南側のカルデラに見られる白い物質は、塩に由来している可能性があります。カルデラに水がたまり出口がなく流れ出ないと、水が蒸発した際に塩などの鉱物が残ることがあります。
なおサハラ砂漠には、チャドの北にあるリビアにも、山腹を暗い色をした玄武岩質の火山灰や火砕物に覆われた「黒い火山」があります。(参考記事:ISSから見た、サハラ砂漠にある黒い火山)
Image Credit: NASA’s Earth Observatory