NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービターが、火星の南半球にあるヘラス平原の南東の地域を撮影した画像です。
全体的に岩石がたくさんありますが、画像上の方でほぼ円形に岩石がない領域があります。実はこの地域には、他にも同じように岩石のない領域がいくつもみられます。
なぜそのような領域が生じているのか、はっきりしたことは分かっていませんが、いくつか考え方があるようです。一つは、小さな衝突クレーターの影響ではないかとするアイデアです。
別の考えとしては、時間の経過とともに直径数mの岩石が少しずつ動いているのではないかとするものがあります。
南緯58度のこの地域では、地中に氷があるのはほぼ確実で、温度変化に伴って氷が膨張したり収縮したりします。そのような温度による氷の変化が風によって細かい粒状物質が除去されることと組み合わさって、岩石が整頓されるのかもしれません。
あるいは季節的に氷が融けた後に再凍結したことが原因となる可能性があるという考えもあるそうです。
マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載された高解像度カメラHiRISEのウェブページでは、HiRISEで撮影した画像を毎日1枚ずつ、HiPOD(HiRISE Picture of the Day、HiRISEの今日の1枚)として紹介しています。この画像は2013年1月6日に撮影されたもので、2020年10月11日のHiPODとして紹介された画像です。
Image Credit: NASA/JPL/UArizona
(参照)HiRISE