さそり座の球状星団ターザン2 ハッブル望遠鏡が撮影

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた、さそり座の球状星団ターザン2(Terzan 2)。2022年7月11日にハッブル宇宙望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」としてリリースされた画像です。

球状星団は数万から数百万個の星が重力で結びつき、ほぼ球状に集まった星団です。この画像のように、球状星団の中心部にいくほど星は高密度に存在しています。

この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡のACS(掃天観測用高性能カメラ)とWFC3(広視野カメラ3)を使って撮影した画像を組み合わせたものです。ACSでは可視光の波長で、WFC3では赤外線の波長でターザン2を撮影しました。

ハッブル宇宙望遠鏡は主鏡が1つしかありませんが、複数の機器を使って対象天体を観測できます。天体からの光は口径2.4mの主鏡で集められ副鏡に送られます。副鏡で反射した光は主鏡の裏側に入り、そこで小さな鏡を使ってそれぞれの機器に導かれることになります。

ハッブル宇宙望遠鏡の観測装置は、ACSやWFC3という2台のカメラのほか、COS(宇宙起源分光器)とSTIS(画像分光器)という2台の分光器が搭載されています。ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ直後には主鏡のわずかな歪みが見つかりましたが、現在搭載されている観測機器には、主鏡のゆがみを補正する機構が組み込まれています。それにより冒頭のターザン2のような鮮明な画像を得ることができます。

主鏡(Primary mirror)で反射した光は副鏡(Secondary mirror)で反射して主鏡の裏へ送られます。なお観測機器(Instruments)に書かれている「NICMOS(近赤外カメラ・多天体分光器)」は現在は使われていません。Image Credit: NASA and STScI
主鏡(Primary mirror)で反射した光は副鏡(Secondary mirror)で反射して主鏡の裏へ送られます。なお観測機器(Instruments)に書かれている「NICMOS(近赤外カメラ・多天体分光器)」は現在は使われていません。Image Credit: NASA and STScI

Main Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Cohen

(参照)ESA/Hubble