ハッブル宇宙望遠鏡、ジャイロ1基の不具合でセーフモードに入り科学観測を中断

1990年4月24日に打ち上げられ、先日、34周年を迎えたばかりのハッブル宇宙望遠鏡。34周年記念日の前日、2024年4月23日にハッブル宇宙望遠鏡がセーフモードに入ったとNASA(アメリカ航空宇宙局)が公表しました。

姿勢制御を行うためのジャイロスコープの1基に不具合が生じたことで、自動的にセーフモードに入ったとのことです。現在は科学観測を停止していますが、ジャイロスコープ以外の望遠鏡の状態は良好としています。

望遠鏡の運用チームは解決策を特定するために取り組んでいるとのこと。ハッブル宇宙望遠鏡は昨年11月にも、ジャイロスコープの不具合によってセーフモードに移行したことがあります。

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いざとなれば1基のジャイロで運用可能

ハッブル宇宙望遠鏡は以前、スペースシャトルで一時的に回収して観測装置を交換するなどの保守ミッションが行われていました。ただスペースシャトルの退役に伴い、保守ミッションは2009年が最後になりました。

その2009年の5度目の保守ミッションで、ハッブル望遠鏡の6基のジャイロスコープは全て新しいものに交換されました。その後、3基のジャイロスコープが故障したため、残りの3基で望遠鏡を運用してきました。ジャイロスコープが3基あれば効率的な姿勢制御ができますが、いざとなればジャイロスコープが1基でも科学観測は可能となっています。その際、もう1基のジャイロスコープは予備となります。

(参考記事)
ハッブル宇宙望遠鏡、ジャイロの不具合で科学観測を中断(2023年11月30日掲載)
ハッブル宇宙望遠鏡、科学運用を再開へ(2023年12月8日掲載)
ハッブル宇宙望遠鏡 〜 打ち上げまでの経緯と5回の保守ミッション

Image Credit: STScI and NASA

(参照)NASA