ボイジャー1号と2号、延命のためそれぞれ1つの機器を停止 | アストロピクス

ボイジャー1号と2号、延命のためそれぞれ1つの機器を停止

恒星間空間を飛行しながら観測を続けているボイジャー1号、ボイジャー2号。1977年に打ち上げられた2機の探査機の電源は原子力電池で、プルトニウム238の崩壊によって発生する熱を電気に変換して電力を得ていますが、供給される電力は年々減り続けています。

恒星間空間でのミッションを継続するため、ボイジャーの運用チームは2025年2月25日にボイジャー1号の宇宙線サブシステム(CRS)を停止しました。また3月24日には、ボイジャー2号の低エネルギー荷電粒子計測装置(LECP)を停止する予定になっています。

NASA(アメリカ航空宇宙局)・JPL(ジェット推進研究所)のボイジャープロジェクトの管理者であるSuzanne Dodd氏によれば「電力が不足しており、今それぞれのボイジャーの機器を停止しなければ、おそらくあと数か月しか電力がもたず、ミッションを終了することになるだろう」と述べています。

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2030年代まで稼働が可能か

2機のボイジャー探査機にはそれぞれ10の観測機器が搭載されています。フライバイによる惑星探査を終えたのち、太陽圏(ヘリオスフィア)や恒星間空間の研究に使用されない一部の機器の電源がオフにされました。その後も、一部の機器が機能を停止したり、電力節約のために電源を切られたりしてきており、今回の措置により稼働を続ける機器は、ボイジャー1号、2号ともに3つずつとなります。ボイジャー1号がLECP、磁力計(MAG)、プラズマ波サブシステム(PWS)、2号がCRS、MAG、PWSです。なお1号のLECP、2号のCRSは2026年には停止される予定とのことです。

そのように電力を節約することで、2030年代まで少なくとも1つの科学機器が稼働し続けるのに十分な電力を確保できるとみられています。ただ打ち上げから47年以上が経過して老朽化が進んでおり、予期しない事態が発生して稼働期間が短くなる可能性は残っています。

現在、ボイジャー1号は地球から250億km以上、2号は210億km以上離れたところを飛行しています。ボイジャー1号に電波が届くまで23時間以上、2号には19時間半ほどかかります。

(参考記事)
ボイジャー1号、2号の現在地は? 今どこにいるのか
ボイジャー1号の主な成果は?
ボイジャー2号の主な成果は?

Image Credit: Caltech/NASA-JPL

(参照)Voyager - NASA blog