スピッツァーとハッブルの画像を合成して作られた、抽象画のようなオリオン星雲 | アストロピクス

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スピッツァーとハッブルの画像を合成して作られた、抽象画のようなオリオン星雲

抽象的な絵画のようなこの画像は、スピッツァー宇宙望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡の画像を合成して作られたオリオン星雲の画像です。赤外線、紫外線、可視光で撮影したデータが合成されています。オリオン星雲は、オリオン座の方向、1500光年の距離にあります。

星雲の中心には、「トラペジウム(台形)」と呼ばれる4つの巨大な星が存在しています。緑色はハッブルが可視光と紫外線で撮影したもので、トラペジウムの星からの強力な紫外線によって加熱され電離した水素や硫黄のガスを示しています。赤色とオレンジ色はスピッツァーが赤外線で撮影したもので、「多環芳香族炭化水素(PAH)」という分子を示しています。

さまざまな色の星が、星雲全体に散在しているのが映っています。オレンジ色~黄色の星は、可視光ではガスや塵に埋もれて見ることができない赤ちゃん星をスピッツァーがとらえたものです。一方、緑の星は星雲内の星、青の星は前景にある星をハッブルがとらえたものです。

オリオン星雲内に見られる空洞や尾根のような部分は、星雲内のいたるところに存在する若い星々からの恒星風によって作り出されました。中でも画像右側に見られる大きな空洞は、トラペジウムの星からの恒星風によって作られた可能性が高いと考えられています。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/T. Megeath (University of Toledo) & M. Robberto (STScI)

http://www.spitzer.caltech.edu/images/1692-ssc2006-21a1-Multiwavelength-Orion-Nebula