火星ヘリコプターが初めての夜を自力で生き延びた | アストロピクス

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火星ヘリコプターが初めての夜を自力で生き延びた

火星での初飛行に向けて準備が進められているNASA(アメリカ航空宇宙局)の火星ヘリコプター「インジェニュイティ(Ingenuity)」について、火星の寒冷な夜を自力で生き延びることができたとNASAから発表されました。画像は火星探査車パーサヴィアランスのナビゲーションカメラ(Navcam)で2021年4月5日に撮影されたインジェニュイティです。

インジェニュイティはパーサヴィアランスの車体下部に取り付けられて火星まで運ばれました。着陸地点のジェゼロ・クレーターでの最低気温はマイナス90℃まで下がる可能性があり、機器やバッテリーを損傷させる可能性があります。パーサヴィアランスに取り付けられている間は、探査車の電力によるヒーターによってヘリコプター内部の温度は約7℃に保たれていましたが、探査車から分離したのちは自らの電力で保温する必要がありました。

インジェニュイティのカメラで撮影された低解像度画像。まだパーサヴィアランスの下部に取り付けられていた2021年4月3日に撮影されたもので、探査車の車輪の一部と火星表面が映っています。飛行試験時にはより高解像度の画像が撮影される予定です。
インジェニュイティのカメラで撮影された低解像度画像。まだパーサヴィアランスの下部に取り付けられていた2021年4月3日に撮影されたもので、探査車の車輪の一部と火星表面が映っています。飛行試験時にはより高解像度の画像が撮影される予定です。

とはいえ探査車に接続されていた時ほどの電力はないため、温度はマイナス15℃を保つよう設定されており、その状態で火星の寒い夜を越えられるかどうかが重要な関門の一つとなっていました。初めての夜を無事に乗り越えたことで、NASAでは断熱材やヒーターの機能、そして十分な電力がバッテリーに蓄えられていることが確認されたとしています。

今後はモーターのテストやコンピューターのチェックなどを経て、早ければ4月11日に最初の飛行試験を行う予定になっています。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech

(参照)JPL