
2025年6月6日に月面着陸を目指したispace社のHAKUTO-Rミッション2の月着陸船「RESILIENCE(レジリエンス)」は、残念ながら月面にハードランディング(硬着陸)したとみられています。上の画像は、レジリエンスのハードランディング後の月面をNASA(アメリカ航空宇宙局)の月探査機ルナー・リコネッサンス・オービター(LRO)がとらえたものです。LROが6月11日に、約80km上空からLROC(LROカメラ)で撮影しました。
NASAによれば、白矢印の先にある暗いしみは、レジリエンスが月面に衝突してレゴリス(月面の砂)を巻き上げた際に形成されたものです。そのまわりに見られるやや明るい領域は、低い角度で飛んできたレゴリスの粒子が月面を掃いた結果とのことです。

こちらのアニメーションは、ハードランディング前後の月面の画像を比較したものです。
レジリエンスは2025年1月15日に打ち上げられ、月の「寒さの海(氷の海)」の中央付近への着陸を目指していました。寒さの海は、「リンクルリッジ」と呼ばれる大規模な断層が点在する火山地帯です。
2025年3月、アメリカの民間月着陸船が着陸に成功
レジリエンスは、民間の月着陸船として日本初、アジア初の月面着陸を目指していました。民間の月着陸船としては2025年3月、アメリカのファイアフライ・エアロスペース社の「ブルーゴースト」と、アメリカのインテュイティブ・マシーンズ(IM)社のIM-2ミッションの「アテナ(Athena)」が着陸に成功しています。
ただしアテナは横倒しの状態のため着陸直後にミッションを終了しました。一方のブルーゴーストは14日間のミッションを完遂し、地球が太陽を隠す日食の撮影なども行いました。
(参考)
月面から見た「日食」 地球と太陽が作る「ダイヤモンドリング」を民間月着陸機が撮影
米民間月着陸船「アテナ」、月面へ着陸。ただし横倒しのため直後にミッションを終了
Image Credit: NASA/Goddard/Arizona State University.