ハッブルとジェミニの観測から分かった大赤斑の暗い領域の正体

これらの画像は、ハッブル宇宙望遠鏡と、ハワイにあるジェミニ望遠鏡がとらえた木星の大赤斑です。

木星では現在、NASA(アメリカ航空宇宙局)の木星探査機ジュノーが周回しつつ観測を行なっています。これまでのミッションと同じようにジュノー探査機の画像から、大赤斑の中にある暗い領域が、時間とともに現れたり消えたり、形を変えたりしていることが分かっていました。

それが高層の雲にある正体不明の暗い物質によるものなのか、あるいは高層の雲に穴があいていて深く暗い層がみえているからなのか、個々の画像からでははっきりとしていませんでした。

今回、ハッブル宇宙望遠鏡とジェミニ望遠鏡の観測によって、大赤斑の暗い領域の正体が明らかになりました。可視光で暗い領域は赤外線で非常に明るく、高層の雲にあいた穴から下の層がみえていることが分かりました。高層の雲がない領域では、木星内部の熱が赤外線の形で放出されて宇宙に逃げていくため、赤外線で明るくみえるのです。

上の画像で、左上と左下はハッブル宇宙望遠鏡の画像です。木星大気の雲に反射した太陽光(可視光の波長)をとらえたもので、大赤斑の中に暗い領域があることが分かります。

右上はジェミニ望遠鏡が、ハッブル宇宙望遠鏡とほぼ同時期にとらえた熱赤外画像です。赤外線エネルギーとして放出される熱を示しています。上空をおおう低温の雲が暗くみえています。雲の晴れた部分で、下の温かい層からの赤外線放射が明るくみえています。

下の中央はハッブル宇宙望遠鏡がとらえた紫外線画像で、大赤斑上空のもやで散乱した太陽光を示しています。大赤斑が可視光で赤くみえるのは、もやが青の波長を吸収しているからです。ハッブル画像からは、より波長の短い紫外線も吸収していることが分かります。

右下はハッブル宇宙望遠鏡とジェミニ望遠鏡の画像を合成したもので、青が可視光、赤が熱赤外を示しています。これらの観測結果は、赤外線で明るい領域が、高層の雲が晴れているか、内部からの熱を遮断する雲が少ないところであることを示しています。

Image Credit: NASA, ESA, and M.H. Wong (UC Berkeley) and team

https://hubblesite.org/contents/news-releases/2020/news-2020-21

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