赤外線で見た木星の鮮明画像

ジェミニ望遠鏡が木星を赤外線でとらえた画像が公開されました。ジェミニ望遠鏡は、ほぼ同じ設計の“双子”の望遠鏡が2台、ハワイと南米チリに設置されています。この画像は、ハワイにあるジェミニ北望遠鏡で撮影されたものです。

この画像では、可視光で見たときのように木星の表面が見えているわけではありません。木星大気に浮かぶ厚い雲のすき間からのぞく、木星大気の深層が見えています。木星内部の熱が赤外線の形で放射されて光って見えているのです。

画像は「ラッキーイメージング」と呼ばれる手法を使って撮影されました。地上からの撮影では、大気のゆらぎによって像がぼけることがあります。ラッキーイメージングでは、短い露出時間で画像を大量に撮影し、地球の大気が一時的に安定した時に得られたシャープな画像だけを使用します。ラッキーイメージングによって、これまでで最も鮮明な木星の赤外線画像を得ることができたのです。

ジェミニ望遠鏡では、NASA(アメリカ航空宇宙局)の木星探査機ジュノーを支援するため、ハッブル宇宙望遠鏡との共同観測プログラムが複数年にわたって実施されてきました。上の画像は、その一環として撮影されたものです。前の記事で紹介した大赤斑の暗い領域の正体や、その前の記事で紹介した雷と雲の新知見などは、共同観測プログラムの成果です。

Image Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA M.H. Wong (UC Berkeley) and team Acknowledgments: Mahdi Zamani.

https://www.gemini.edu/pr/gemini-gets-lucky-and-takes-deep-dive-jupiter-s-clouds