ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた環状星雲

この画像に映っているのは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた環状星雲(M57)です。環状星雲は、こと座の方向、約2600光年の距離にあります。画像はウェッブ望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)で撮影されたもので、天文学者の国際的な研究チームが2023年8月3日に公開しました。

環状星雲は「惑星状星雲」と呼ばれる天体です。太陽程度の質量の星が年老いると、ふくらんで赤色巨星になり、外層のガスが周囲へ放出されて広がっていきます。やがて中心に残された星の「芯」からの紫外線によって周囲のガスが輝くのが惑星状星雲です。

ウェッブ望遠鏡の画像には中心の星や、その周りの内部領域の様子が鮮明に映し出されています。また画像をよくみると、周囲に広がったガスが、さまざまな形をしていることがわかります。これはさまざまな物理プロセスが複雑に相互作用した結果できあがったものです。

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環状星雲の一部のクローズアップ

こちらはそれぞれ、環状星雲の一部をクローズアップしたものです。それぞれ、下の画像の枠内をみたものです。

(A)は中心星付近のクローズアップです。中心星は死につつある非常に高温(10万度以上)の星です。ただ燃料を使い果たしているので、今後はしだいに冷えていき、やがて白色矮星になります。星雲を形成するガスは、この星から約4000年前に放出されました。

(B)の画像は、星雲のリングが多数の塊状のガスで構成されていることを示しています。研究チームによると、2万もの塊があるとのことです。それらは水素分子を含み、星雲の他の部分より低温で高密度になっています。星雲のガスのおよそ半分が、これらの塊の中にあります。

(C)はリングの上側をみたものです。中心星の方向を指す線状の構造が数多くみられます。それらの起源はよくわかっていません。(D)は、ハローの外側の領域です。高温ガスがハローに吹き込んで物質を掃き集めているのが映っています。

Image Credit: NASA, ESA, CSA, JWST Ring Nebula Team photo; image processing by Roger Wesson

(参照)UCL NewsWestern NewsThe University of Manchester