星の死にゆく姿「らせん星雲」 中心の白色矮星からのX線は破壊された惑星の破片が原因か | アストロピクス

星の死にゆく姿「らせん星雲」 中心の白色矮星からのX線は破壊された惑星の破片が原因か

この画像に映っているのは「らせん星雲」と呼ばれる惑星状星雲です。らせん星雲は、みずがめ座の方向、650光年の距離にあります。

太陽程度の質量の恒星は、年老いると膨らんで赤色巨星になります。やがて赤色巨星の外層のガスが周囲の宇宙空間へ放出されます。中心に残された星の「芯」からの紫外線によって、放出されたガスが電離して輝く天体が惑星状星雲です。星の芯は、やがて「白色矮星」と呼ばれる高密度の天体になります。らせん星雲の中心には白色矮星WD 2226−210が存在しています。

画像はチャンドラX線望遠鏡のX線(マゼンタ)、ハッブル宇宙望遠鏡の可視光(オレンジ色、明るい青色)、ESO(ヨーロッパ南天天文台)の赤外線(金色、暗い青色)、GALEX衛星の紫外線(紫色)のデータが合成されています。

以前から、らせん星雲の中心にあるWD 2226−210から放射される強いX線が観測されていました。通常、WD 2226−210のような白色矮星は強いX線を放ちません。チャンドラ望遠鏡とXMM-Newtonのデータを使った最近の研究では、白色矮星の周りををまわる惑星が、白色矮星の潮汐力によって破壊され、その破片の一部が白色矮星に落ちた際に強いX線を放っている可能性があるとしています。

Image Credit: NASA/CXC/SAO/M. Weiss
Image Credit: NASA/CXC/SAO/M. Weiss

この画像は、白色矮星(右)の潮汐力で破壊された惑星の想像図です。惑星の破片が白色矮星へ引き寄せられています。画像の左上と右下に、別の惑星が描かれています。

(参考)「らせん星雲」記事一覧

Main Image Credit: X-ray: NASA/CXC/SAO/Univ Mexico/S. Estrada-Dorado et al.; Ultraviolet: NASA/JPL; Optical: NASA/ESA/STScI (M. Meixner)/NRAO (T.A. Rector); Infrared: ESO/VISTA/J. Emerson; Image Processing: NASA/CXC/SAO/K. Arcand; Illustration: NASA/CXC/SAO/M. Weiss

(参照)Chandra X-ray Observatory