この画像はハッブル宇宙望遠鏡がとらえたもので、渦巻銀河NGC 5643が映っています。NGC 5643は、おおかみ座の方向、約4000万光年の距離に位置しています。
はっきりとした渦状腕をもつ渦巻銀河は「グランドデザイン渦巻銀河」と呼ばれます。NGC 5643は、そのようなグランドデザイン渦巻銀河の一つです。NGC 5643の渦状腕には、明るく青い星や赤褐色の塵の雲、そしてピンク色の星形成領域が散りばめられています。
この銀河の中心には超巨大ブラックホールによって駆動される活動的な銀河中心核が存在しています。ブラックホールに引き寄せられたガスが作る円盤の中で、ガスは摩擦によって数十万度にまで加熱され、広い波長帯で明るく輝きます。なかでも特にX線で明るく輝きます。
ただNGC 5643では、銀河中心にある超巨大ブラックホールよりもX線で明るく輝く天体が、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のX線天文衛星XMM-Newtonの観測によって発見されました。NGC 5643 X-1と呼ばれるそのX線源の正体は、まだはっきりとわかっているわけではありませんが、太陽の約30倍の質量のブラックホールである可能性があります。
なおハッブル宇宙望遠鏡が撮影したNGC 5643の画像は、以前にも別の画像が公開されたことがあります。→「おおかみ座の渦巻銀河NGC 5643 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影」
画像はハッブル望遠鏡のWFC3(広視野カメラ3)で撮影されたもので、ハッブル望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」として2024年12月9日に公開されました。
(参考)「ハッブル今週の1枚」記事一覧
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Riess, D. Thilker, D. De Martin (ESA/Hubble), M. Zamani (ESA/Hubble)
(参照)ESA/Hubble