中心の3連星がまわりの原始惑星系円盤を引き裂いた! | アストロピクス

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中心の3連星がまわりの原始惑星系円盤を引き裂いた!

Credit: ESO/L. Calçada, Exeter/Kraus et al.

この画像は、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)でとらえたオリオン座GW星の原始惑星系円盤(右)と、中心付近の想像図(左)です。

地球から1300光年の距離にあるオリオン座GW星は、中心に3つの星が存在する3連星です。イギリス・エクセター大学のステファン・クラウス氏らの研究チームは、オリオン座GW星の原始惑星系円盤が変形しており、3連星付近にあるリングは傾きがずれて円盤から分離していることを明らかにしました。

研究チームは11年以上にわたりオリオン座GW星の観測を行いました。その結果、3つの星の軌道面は同じ平面内になく、また円盤に対してズレていることが分かりました。研究チームはVLTに搭載されている「SPHERE」という装置でも観測を行い、内側のリングが円盤に落とす影を発見しました。冒頭の画像はSPHEREによる画像です。それによってリングと円盤全体の3次元形状が明らかになりました。

Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), ESO/Exeter/Kraus et al.

左はアルマ望遠鏡でとらえた塵円盤のリング状の構造です。最も内側のリングは、円盤の他の部分から分離しています。右のSPHEREの画像で、中心から左下と上方向へ伸びる暗い筋が内側のリングの影と見られています。

別の記事で紹介した研究では、3連星の重力だけでは内側のリングの大きな傾きを再現できず、円盤内に惑星が存在する可能性が指摘されています。しかしクラウス氏らのシミュレーションではこの映像のように、3連星の軌道のズレが周囲の円盤を分裂させる原因となったことが示されています。惑星は必要としていません。映像Credit: Exeter/Kraus et al.

中心の3連星の軌道と内側のリング周辺の様子を示した映像です。研究チームのコンピューターモデルに基づいて作成されました。映像Credit: ESO/Exeter/Kraus et al./L. Calçada

原始惑星系円盤と、そこから分離したリングの様子を示した映像です。研究チームのコンピューターモデルに基づいて作成されました。映像Credit: ESO/Exeter/Kraus et al./L. Calçada

(参照)ESO