この画像は、オリオン座GW星のまわりにある原始惑星系円盤をアルマ望遠鏡で観測したものです。3つの塵のリングが見えています。
オリオン座GW星は地球から1300光年の距離にある3連星で、1天文単位(太陽〜地球間の平均距離に相当)離れて互いに回り合うA星とB星、そこから8天文単位離れたところを回るC星からなります。従来から原始惑星系円盤があることは知られていましたが、カナダ・ビクトリア大学のジャーチン・ビー氏、工学院大学の武藤恭之氏らの研究チームが行なったアルマ望遠鏡での観測によって、円盤が3本のリングでできていることが判明しました。
3本の塵のリングの半径は、内側から46天文単位、188天文単位、338天文単位です。3本のリングは中心にある3連星の軌道面と比べて大きく傾いていることが分かりました。
また最も内側のリングは、他の2本のリングと比べ大きく傾いていました。冒頭の画像で、最も内側のリングはほぼ円形に見えますが、外側の2本のリングは楕円形に見えます。実際にはリングが円形に近いと仮定すると、最も内側のリングは正面から、他の2本はやや斜めから見ていると考えられ、リングの傾きが異なることが分かります。
ビー氏らの研究チームがシミュレーションを行ったところ、3連星の重力だけでは内側のリングの大きな傾きを再現できず、円盤内に惑星が存在する可能性を指摘しています。ただしオリオン座GW星を観測した別の研究チームは、大きく傾いたリングが3連星の重力だけでも作られうるとしています。その研究については別記事で紹介しています。
Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Bi et al., NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello
(参照)アルマ望遠鏡