「空飛ぶ天文台」が楕円銀河ケンタウルス座Aの磁場をとらえた | アストロピクス

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「空飛ぶ天文台」が楕円銀河ケンタウルス座Aの磁場をとらえた

ケンタウルス座A(NGC 5128)は、約1億年前に渦巻銀河と楕円銀河が衝突・合体してできたと考えられている楕円銀河です。今回、NASA(アメリカ航空宇宙局)の赤外線天文学成層圏天文台(SOFIA)によって、ケンタウルス座Aで磁場が観測されました。銀河の合体によって磁場が結合しただけでなく、その力が増幅されたことが観測から示されました。

この画像は、ケンタウルス座Aの画像にSOFIAが観測した磁場を流線で重ね合わせたものです。銀河の画像はESO(ヨーロッパ南天天文台)とAPEX(アタカマ・パスファインダー実験機)による可視光、サブミリ波(オレンジ)、チャンドラX線望遠鏡によるX線(青)、スピッツァー宇宙望遠鏡による赤外線(暗い赤)で撮影された画像が合成されています。

(参考)可視光で撮影されたケンタウルス座A

ケンタウルス座Aで磁場を観測したところ、元の渦巻銀河の名残である塵の帯と平行に磁場が走っていることが分かりました。しかし中心付近では磁場がねじれて歪んでいるようにみえます。

銀河衝突が爆発的な星形成を引き起こして元の渦巻銀河の形を変えると、その影響は重力と相まって小規模な磁場を歪めて増幅しました。またケンタウルス座Aの中心に存在する活動中の超巨大ブラックホールが、磁場の乱れに拍車をかけているとみられています。

なおSOFIAは、2.5m反射望遠鏡を搭載するよう改造されたボーイング747-SPジェット旅客機で、「空飛ぶ天文台」とも呼ばれています。

Credits: Optical: European Southern Observatory (ESO) Wide Field Imager; Submillimeter: Max Planck Institute for Radio Astronomy/ESO/Atacama Pathfinder Experiment (APEX)/A.Weiss et al.; X-ray and Infrared: NASA/Chandra/R. Kraft; JPL-Caltech/J. Keene; SOFIA/L. Proudfit

(参照)NASA