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この画像には火星の南極域の一部が映し出されています。クリスマスシーズン向けに公開された画像で、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のウェブページでは、この画像を羽のある天使とハートマークのように見えるとして紹介しています。天使の頭部には後光(天使の輪)のようなものもあるように見えます。ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の火星探査機マーズ・エクスプレスが、2020年11月8日にとらえた画像です。
火星の南極は画像の右側のフレーム外にあります。火星の南極地域は厚さ1.5km、幅400kmほどの極冠に覆われています。体積は160万立方kmで、12%以上が水の氷、それ以外はドライアイス(二酸化炭素の氷)でできています。冬の間は大気中の二酸化炭素が凍りつき、夏になると昇華します。画像は火星の南半球の夏、氷の量が年間で最も少なくなる時期に撮影されました。
天使の頭部と後光は衝突クレーターです。ハートは、急な断崖によって下側の暗い砂丘から切り離されています。画像左側にはダストデビル(塵旋風)の通過痕が、ひっかき傷のように見えています。
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こちらは冒頭の画像の地域を斜めから見た立体画像です。
Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin, CC BY-SA 3.0 IGO
(参照)ESA