![](https://astropics.bookbright.co.jp/wp-content/uploads/2025/02/Euclid_image_of_a_bright_Einstein_ring_around_galaxy_NGC_6505-1280-800x800.jpg)
この画像はESA(ヨーロッパ宇宙機関)のユークリッド宇宙望遠鏡がとらえたもので、NGC 6505と呼ばれる銀河が中央に大きく映っています。ユークリッド宇宙望遠鏡は、その銀河の中心を取り囲む光のリングも映し出しました。
手前の天体の重力で奥の天体がリング状に見える
その光のリングの正体は「アインシュタインリング」と呼ばれる現象です。アインシュタインの一般相対性理論によれば、質量がある物体の周りで光は曲がります。まるで重力がレンズのような働きをすることから、そのような現象は「重力レンズ」と呼ばれます。
たとえば地球から見て2つの天体が奥行き方向に並んでいると、手前側の天体の重力によって、奥にある天体からの光が曲がります。そのため奥にある天体の像がゆがんだり引き延ばされたりします。2つの天体がほぼ一直線上に並び、奥の天体の像がリング状に見えるケースがアイシュタインリングと呼ばれます。
冒頭の画像に映るNGC 6505は、地球から約5億9000万光年の距離にあります。銀河の中心の周りでリング状に見えているのは、約44億2000万光年先にある銀河です。NGC 6505は1884年に発見された銀河ですが、このアインシュタインリングが観測されたのは、ユークリッド望遠鏡による観測が初めてです。
![](https://astropics.bookbright.co.jp/wp-content/uploads/2025/02/e346c32a45759a9ea8add0406c5288fe.jpg)
こちらはNGC 6505の中心のアインシュタインリングのクローズアップです。
(参考)
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ユークリッド宇宙望遠鏡
ユークリッド宇宙望遠鏡は、太陽・地球系の第2ラグランジュ点(L2)を周回する軌道から観測を行っています。L2は、地球からみて太陽の反対側、約150万km離れたところにあります。
ユークリッド宇宙望遠鏡の目的は、全天の3分の1の領域について100億光年先までの銀河の形状や位置、距離などを測定し、宇宙の3Dマップを作成することです。それにより、ダークエネルギー(暗黒エネルギー)やダークマターの解明などを目指しています。
(参考記事)ユークリッド宇宙望遠鏡 銀河の精密な3Dマップを作り宇宙の「暗黒」の解明を目指す
Image Credit: ESA/Euclid/Euclid Consortium/NASA, image processing by J.-C. Cuillandre, G. Anselmi, T. Li
(参照)ESA