ルーシー探査機が小惑星ドナルドジョハンソンに最接近し画像を撮影 | アストロピクス

ルーシー探査機が小惑星ドナルドジョハンソンに最接近し画像を撮影

この画像に映っているのは、NASA(アメリカ航空宇宙局)のルーシー探査機がとらえた小惑星ドナルドジョハンソンです。ルーシー探査機が2025年4月20日にドナルドジョハンソンに接近した際に撮影しました。

一連の画像は、ルーシー探査機が2025年4月20日17時50分から2秒ごとに撮影したものです。ルーシー探査機の最接近時の距離は約960kmでしたが、表示されている画像は1600〜1100kmの距離から撮影されたものです。ドナルドジョハンソンが自転しているかのように見えますが、探査機が移動することでそのように見えているだけです。

以前の観測での明るさの変化から、ドナルドジョハンソンが細長い形状をしている可能性があると予想されていました。ルーシー探査機の画像から、ドナルドジョハンソンが細長い接触二重小惑星(2つの天体が衝突して形成される天体)であることが明らかになりました。

初期分析によると、この小惑星の長さは約8km、最大幅は3.5kmであることがわかりました。現在までに送られてきた画像では、探査機のカメラの視野よりも小惑星が大きいため、全体像は見えていません。最接近時の残りのデータをダウンリンクするには最大1週間かかるとのことですが、データがそろえば小惑星の全体像がよりはっきりするはずです。

スポンサーリンク

ルーシー探査機は木星のトロヤ群小惑星を目指す

2025年4月20日17時51分(世界時)、ルーシー探査機が1100kmの距離から撮影したドナルドジョハンソン。
2025年4月20日17時51分(世界時)、ルーシー探査機が1100kmの距離から撮影したドナルドジョハンソン。

木星の公転軌道上には、木星の進行方向とその逆側それぞれ60度離れた「ラグランジュ点」とよばれる場所付近に「トロヤ群小惑星」と呼ばれる小惑星群が存在しています。ルーシー探査機はその木星のトロヤ群小惑星をはじめて間近から観測する探査機です。

2021年10月16日に打ち上げられたルーシー探査機は、2022年10月と2024年12月に地球で2回のフライバイを行ったのちに木星軌道へと向かっています。ドナルドジョハンソンの観測は、木星へ向かう途中で実施されました。なお2回の地球フライバイの間の2023年11月1日には、小惑星ディンキネシュに接近して観測を行いました。2027年以降に、木星のトロヤ群小惑星の観測が始まります。(参考)二重小惑星だったディンキネシュ。ルーシー探査機が観測

ルーシーミッションについて、詳しくは次の記事をご覧ください。(参考記事)木星のトロヤ群小惑星を目指す探査機ルーシー

なお探査機の「ルーシー」という名前は、有名な人類化石にちなんで名付けられました。小惑星の名前「ドナルドジョハンソン」は、そのルーシーの化石を発見した古人類学者にちなんだものです。

Image Credt: NASA/Goddard/SwRI/Johns Hopkins APL

(参照)NASA