二重小惑星を目指す探査機ヘラが中間赤外線でとらえた火星の衛星ダイモス | アストロピクス

二重小惑星を目指す探査機ヘラが中間赤外線でとらえた火星の衛星ダイモス

この画像はESA(ヨーロッパ宇宙機関)の探査機ヘラ(Hera)がとらえたもので、火星の衛星ダイモス(デイモス)が映っています。ヘラは、ディディモスとディモルフォスの二重小惑星を目指す途中、2025年3月12日に火星でフライバイをした際に、一連の画像を撮影しました。

画像は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が提供した熱赤外カメラTIRI(Thermal Infrared Imager)で撮影されました。TIRIは中間赤外域の波長で天体表面の温度分布を調べることができます。衛星ダイモスが明るく見えていますが、これは大気のないダイモスの表面が火星より温かいことを意味しています。

なお可視光で見ると、火星よりダイモスの方が暗く見えます。ダイモスの表面は暗い物質で覆われているため、太陽光を吸収して温度が高くなります。一方、火星の表面は反射率が高く、また大気があることで温かい昼側から低温の夜側へと熱が運ばれます。そのためダイモスよりも温度が低く、この画像では暗く見えています。

この画像では、ダイモスが火星の手前を南から北へ移動しているように見えますが、実際にはヘラが北から南へと通過した際に撮影されたものです。

(参考)
二重小惑星を目指す探査機ヘラが火星フライバイ時に撮影した衛星ダイモス(可視光で撮影した画像を紹介)
ESAの小惑星探査機Hera、DARTの衝突現場を調査へ(ヘラミッションの紹介記事)

Image Credit: ESA/JAXA

(参照)ESA